2級に合格したあなた、既に1級を目指していませんか。
始めに断言します。
じっくりと取り組めば、1級はどなたでも合格できます。
そうはいっても少しでも早く合格したい方のために、1級の合格のポイントを説明します。
受験資格
バッジテスト2級検定と同じく、年齢制限が撤廃されました。
2級に合格後、1単位2時間の事前講習を受講することが受験資格です。
1度事前講習を受講すると、そのシーズンはいつでも何回でも1級の検定を受験できます。
初めてバッジテストを受ける人は、午前中に講習を受講して午後に検定を行うことが多いと思います。
検定種目と採点方法
検定種目
2級検定種目からシュテムターンが無くなり、不整地小回りと総合滑降が加わり4種目となります。
不整地小回りはコブで行われることがほとんどですが、シーズン初めなどコブが無い場合は小回りと同じ斜面で行われることもあります。
不整地といっても新雪で行われることはまずありません。
- パラレルターン ・大回り:ナチュラル・急斜面
- 基礎パラレルターン・小回り:ナチュラル・急斜面
- パラレルターン ・小回り:不整地・中急斜面
- 総合滑降 :ナチュラル・総合斜面
#2020/21シーズンより、横滑りにかわり総合滑降が検定種目になりました。
採点方法
検定員
主任検定員1名と検定員2名、合計3名でジャッジを行います。
主任検定員は、A級あるいはB級検定員で、全日本スキー連盟(SAJ)公認スキー指導員資格合格後、検定員試験に合格しています。
評価の観点
観点は次の4点ですが、全ての級で同じです。
具体的な技術レベルは、下部にあるリンク先で説明しています。
- 状況・条件に対応して滑る能力
- ターン運動の構成(ポジショニングとエッジング)
- 斜面状況への適応度(スピードと回転弧の調整)
- 運動の質的内容(バランス・リズム・タイミング)
種目別得点
検定員3名の平均値(小数点第1位を四捨五入)が得点となり、70点が1級のレベルとされています。
3名の合計点が209点(例:70点、70点、69点)から211点だと、種目得点が70点となります。
(検定員毎の点数は発表されない場合が多いです。)
検定員の採点と種目得点
検定員A | 検定員B | 検定員C | 合計点 | 種目得点 |
69点 | 69点 | 68点 | 206点 | 69点 |
69点 | 69点 | 69点 | 207点 | 69点 |
70点 | 69点 | 69点 | 208点 | 69点 |
70点 | 70点 | 69点 | 209点 | 70点 |
70点 | 70点 | 70点 | 210点 | 70点 |
71点 | 70点 | 70点 | 211点 | 70点 |
71点 | 71点 | 70点 | 212点 | 71点 |
合格点
種目別の得点に関係なく、4種目合計で280点以上で1級合格となります。
68点や69点の種目があっても、他の種目で71点以上があればよいということです。
合格難易度と合格率
もう一度、断言します。
あきらめなければ、どなたでも合格できます。
合格難易度
年齢、性別、スポーツ経験など、多くの要素があり一概には言えませんが、早い人であれば2級合格から20~30日の滑走で1級に合格する人もいます。
大学のスキーサークルでは、初めてスキーを履いて1年生で2級、2年生で1級に合格する人も多くいます。
年齢を重ねても大丈夫です。
少し時間がかかりましたが、60歳を過ぎて合格した方を何人も知っています。
2022年にとったアンケートでは、最年少合格者は9歳、最年長合格者は64歳でした。
また、合格者は、平均2.2回目の検定で合格していました。
SAJスキーバッジテスト・指導員検定 回答者のプロフィール、最年少、最年長合格者など はこちら
合格率
北海道スキー連盟発表のデータによると、2017/18から2020/21まで4シーズン累計で、受験者数8,812名、合格者数3,097名、1級合格率で35%でした。
青森県スキー連盟発表のデータによると、2012/13から2021/22まで10シーズン累計で、受験者数1,106名、合格者数675名、1級合格率61%でした。
先のアンケート結果では、合格者の平均受験回数は2.2回であり、挑戦中の方もいることを考えると、合格率は30~40%となります。
全ての県が合格率を発表しているわけではないので全国平均は分かりませんが、だいたい30~40%ではないでしょうか。
2級、1級、テクニカル、クラウンの合格率と難易度。北海道スキー連盟 はこちら
差が広がる スキー検定 2級・1級とテクニカル・クラウンの合格率 青森県スキー連盟 はこちら
合格のポイント
目標とする得点
合格点は4種目で280点、1種目70点平均です。
感覚でしかありませんが、全種目70点で合格する人の割合が多い気がします。
もちろん、それでも問題はないのですが、私は戦略的な観点から得意種目をつくり、その種目で71点をとることが合格の早道ではないかと考えています。
全種目70点ということは、69点の種目、すなわち不得意な種目を頑張って70点に上げるということです。
不得意な種目を練習することは、気力が必要で、なおかつ上達までに時間がかかります。
一方、70点をとれる種目、すなわち得意種目を71点に上げることはどうでしょうか。
多くの人にとって、得意種目の練習をすることは楽しいものです。
仮に上達まで同じ時間がかかったとしても、楽しい時間を過ごせます。
もう一つ得意種目を練習する重要な意味があります。
種目により滑り方が違うと思われているかもしれませんが、運動のタイミングや長さは違いますが、運動要素自体は同じなのです。
(混乱をまねくといけないので、現時点では頭の隅に留めるぐらいにしてください。)
すなわち、得意な種目が伸びてくると、不思議と他の種目も伸びてきます。
そして、なにより1種目71点があると、1種目は69点で良いわけで、気持ちの余裕ができます。
既に得意種目がある方は、その種目を伸ばしてください。
まだ、得意種目がない方は、これからお話しすることを参考に得意種目をつくってください。
1級と2級の検定種目と検定斜面
テスト種目 | 2級 | 1級 |
大回り(ナチュラル) | 中急斜面 | 急斜面 |
小回り(ナチュラル) | 中斜面 | 急斜面 |
小回り(不整地) | – | 中急斜面 |
総合滑降(ナチュラル) | – | 総合斜面 |
シュテムターン(ナチュラル) | 中斜面 | – |
テスト種目を見てどう思いましたか?
急斜面が多くなってる。
種目が増えた。
はい、両方とも正しいですね。
ただ、もう少し違う見方もできます。
検定種目のグルーピング
4種目が各々独立した種目と考えることもできますが、共通点を見出すことができる種目もあります。
人それぞれ滑り方には特徴があるので、自分の感覚にあうグループを見つけて、まとめて練習することで得点アップを狙えます。
地形によるグルーピング
総合滑降、大回り、小回り と コブ
滑る地形による分け方です。
整地(ナチュラルバーン)を滑るか、不整地(コブ)を滑るかの違いです。
コブは別物と考えている人が多いですね。
リズムによるグルーピング
大回り と 小回り、コブ
ターンリズムの違いによる分け方です。
ゆっくりとしたリズムの大回りと、比較的テンポの速い小回り、コブに分かれます。
ターンリズムは次にあげる運動要素とも関連してきます。
運動要素によるグルーピング
総合滑降、大回り と 小回り、コブ
運動要素の違いによるグループです。
カービング要素の強い総合滑降、大回りと、ずらし要素の大きい小回り、コブに分かれます。
注意していただきたい点は、カービングがずらしより優れている滑り、というわけではない言うことです。
カービングも、ずらしも両方とも重要な運動要素です。
滑り方
各ページで合格点のでる滑りを詳しく解説してありますのでご覧ください。
バッジテスト1級 合格のポイントと合格率 はここ
バッチテスト1級 総合滑降の滑り方 はこちら
バッチテスト1級 大回りの滑り方 はこちら
バッジテスト1級 小回りの滑り方 はこちら
バッジテスト1級 コブの滑り方 はこちら
用具
スキー板
アルペンレース用、(アルペン)基礎用、モーグル用、パウダー用など多くの種類のスキー板が販売されていますが、もちろん基礎用がお勧めです。
間違ってもレース用の硬い板は選ばないでください。
硬い板は、板の撓みをつかうことが難しく、ずらしの要素が強いターンになる可能性があります。
基礎スキー用でもトップモデルと言われる最上位の板は硬すぎる場合があり、体重にもよりますが、男性でもセカンドモデルを選ぶのもありだと思います。
女性および男性でも脚力に自信のない方は、セカンドモデルがお勧めです。
また、基礎スキー用の板には大回り用と小回り用の板があります。
お勧めは小回り用の板です。
検定種目として大回りがありますが、大回りの板の性能を発揮できるほど横幅と斜度のある検定会場は稀だからです。
ブーツ
ブーツを選ぶポイントは、柔らかさです。
筋力があり雪面からの力を的確に受け止めることができる人は硬いブーツでも良いのですが、これから1級を目指す人にとってはハードルが高すぎます。
ブーツを履くことに苦労しないぐらいの柔らかさが良いと思います。
かと言ってリアエントリタイプは柔らかすぎるので、バックルタイプのブーツを選んでください。
ブーツの固さを表すのに80から150ぐらいまでの数字が使われますが、100前後でよいのではないでしょうか。
ここで気をつけていただきたいのは、この数値はメーカー間で共通しておらず、同じメーカーの中での硬さの基準です。
購入時に、店員の方に自分の滑りのレベルを説明し、試し履きをし、最適なものを選んでください。
まとめ
がむしゃらに滑るのも良いのですが、効率的な練習をすることで短い期間で合格が可能になります。
得意種目をつくるなど戦略をたてて練習すると、合格がぐっと近づきます。
スキー板もブーツも柔らかめのものがお勧めです。
バッジテスト1級 合格率と合格のポイント はここ
バッチテスト1級 総合滑降の滑り方 はこちら
バッチテスト1級 大回りの滑り方 はこちら
バッジテスト1級 小回りの滑り方 はこちら
バッジテスト1級 コブの滑り方 はこちら
SAJ、SIAスキー検定(バッジテスト)のまとめ はこちら
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