昨今、SAJスキー検定のテクニカル・クラウンプライズの合格が難しくなってきたいう話を聞きます。
青森県スキー連盟が公開している過去20年以上にわたる合否のデータがありましたので、そのデータを元にうわさの検証をしてみたいと思います。
出典:一般財団法人青森県スキー連盟 バッジテスト結果集計表
合格率と受験者
単年だと受験者数の少ないプライズテストのバラツキが大きいので、過去10年分の合格率を算出しました。
2012/13~2021/22シーズンの合格者数/受験者数(単年の合格率の平均ではありません。)
2級 | 1級 | テクニカル | クラウン | |
合格率 | 80% | 61% | 43% | 31% |
延べ合格者数 | 1,118名 | 675名 | 74名 | 35名 |
延べ受験者数 | 1,491名 | 1,106名 | 172名 | 113名 |
この値は、他県のデータやアンケートを行った時の合格率よりはるかに高い値です。
合格率の高さとして次のようなことが考えられると思います。
- 県全域が降雪地帯でスキー文化が根付いている
- 小学校から授業の一環としてスキーを習っている
- 首都圏などスキー場がない他県からの受験者が少ない
同じ雪国の北海道と比べても倍近い合格率なので、身近にスキーが上手い人が多く、合格のレベルに近づかないと受験をためらわれる、検定会場ごとに合格率を競っているなどの特殊要因があるのかもしれません。
合格率の推移
合格率が高めだとしても、一定の条件の検定であれば傾向をみることはできると思います。
1996/97~2021/22までの26シーズンの合格率の推移です。
受験者が多い2級と1級の合格率はシーズン毎のバラツキが少なく、受験者が一桁の時もあるテクニカルとクラウンは合格率のバラツキが大きく出ています。
2級、1級とテクニカル、クラウンの合格率の傾向
前のグラフでもなんとなく傾向が読み取れますが、はっきりと分かるように各検定の合格率推移の線形近似のグラフを作りました。
どうですか、傾向がはっきりと出ました。
2級、1級は年々合格しやすくなり、テクニカル、クラウンは合格が難しくなっていることが良く分かります。
受験者の母集団(の居住地)が、級別テストとプライズテストで異なるとは考えられません。
そうすると、級別テストが合格しやすくなったことにより、プライズテストを受験する方のレベルが下がったと考えることもできます。
しかし、ここ10年プライズテストの受験者数はあまり変わらないので、プライズテストの合格基準が高くなっていると考えるのが自然です。
どのような理由にせよ、級別テストとプライズテストの合格難易度の差が広がっている、結果としてプライズテストの合格が難しくなっているのは間違いないようです。
最後に
1つの県のデータなので確実にこうだ、と言い切れるものではありませんが、母集団が同じなので傾向は分かりますね。
SAJ、SIAスキー検定(バッジテスト)のまとめ はこちら
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