コブにおける二つの山回り

コブの滑り方

みなさんは、コブの山回りではどのようなことを行っていますか。
山回りでは、主にスピードコントロール、ターンサイズの調整、そして次の谷回りの準備を行っています。

スピードコントロールとは減速のことで、山回りの一番重要な運動要素です。
減速することにより、滑走速度を一定に保つことができます。

次にターンサイズの調整ですが、コブは横幅が限られているので、コブの全体を使うか、直線的に滑るかを調整します。

最後に谷回りの準備です。
谷回りの準備とは、重心よりフォールライン方向にある板を体の真下に戻す運動になり、コブでは吸収動作となって現れます。

 

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内力と外力

谷回りから山回りになるためには、板の方向を変える必要があります。
その方法が大きく分けると二つあり、一つは内力を主体としたターンで、自分の筋力で板の進行方向を変えるターンです。
もうひとつは外力を利用したターンで、雪面抵抗を利用するターンです。

内力とは

内力とは自分の筋力により発生する力です。
ターンを行うために、主に太腿の回旋により板の進行方向を変えます。
もう少し細かく言うと、外足は内旋、内足は外旋します。
必要な筋力は、板の荷重位置(前後のポジション)と滑走スピードに依存します。
ピボットターンを行えるポジションに荷重ができれば、少ない力でターンを行うことができます。

整地での内力を主体としたターン

雪面抵抗が少ない緩斜面で、ずれの大きいターンになります。
垂直軸を中心とした回転になるので、切替で腰高なポジションになりがちです。

外力とは

外力とは文字通り外から加わる力です。
スキーのターンの場合は、主に雪面抵抗になります。
板の前半分に後ろ半分より大きな雪面抵抗を受けることにより、板の進行方向が変わります。

整地での外力を利用したターン

カービング要素が強いほど、板の前半分に大きな雪面抵抗を受けます。
整地では滑走スピードを上げることにより、強い遠心力を発生させ、その力に釣り合う深い内傾角をとることができるようになります。

 

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コブの山回り

山回りのターンの方法によって、コブの滑り方が決まります。
ターン方法別の山回りと運動要素です。

  スピードコントロール(減速) ターンサイズの調整(横方向への移動) 谷回りの準備
(吸収)
内力を主体
としたターン
コブの裏を横滑り 移動距離は短い 少ない
外力を利用
したターン
バンクでずらす 自由に調整可能 大きい

 

内力を主体としたターンでの山回り

スピードコントロール(減速)

コブの裏側をフォールライン方向に横滑りすることで、スピードコントロールを行います。
多くの人がこの滑り方で滑ると、コブの裏が削れて絶壁のようになってきます。
また、この滑りはゆっくり滑ることに適していて、スピードが上がってくるとコブの裏から板が離れてしまいスピードコントロールが難しくなります。
また、板のトップとテールがあまり時間差なくコブの溝を通り過ぎバンクに当たるので、どうしても衝撃が大きくなりがちです。

ターンサイズの調整(横方向への移動)

コブの裏をけずっているので、滑走ラインは比較的直線的になり、その分、横への移動の力は弱くなってしまいます。
この滑り方だと、ターンサイズを調整することは難しくなります。

谷回りの準備(吸収)  

コブでは吸収動作が大変重要になってきますが、その目的は谷回りの準備のための重心の移動です。
足が突っ張るということは両方の板の山側のエッジが雪面に接地しているということであり、すなわり重心は板より山側にあることを意味します。
整地大回りのように高速で滑っていれば、切替で腰高の足が伸びた状態でも重心移動を行うことができますが、コブではそのようなスピードは出ません。
そこで、吸収動作を行うことにより、重心を板に近づけることが重要になってきます。
しかし、内力を主体としたターンと吸収動作はあまり相性が良くありません。
コブの裏をけずりながらスピードコントロールしている時は、どうしても板に効率よく体の重みを伝えるために足が伸び、かつ前後のバランスの良いポイントに乗っています。
しかし、このポジションは突っ張り棒のように強く、この状態から深い吸収動作をすることは難しいと思います。

外力を利用したターンで山回り

スピードコントロール(減速)

板のトップからバンクに入れるようになると、滑りの幅がぐんと広がってきます。
一つ目のスピードコントロールは板の前半分がしなることによる減速です。
板がトップに当たっただけで、スピードが落ちるのを感じると思います。
二つの目のスピードコントロールは板がバンクとコブの裏で橋渡しの状態になった時に、板のセンターを溝に押し込むことによる減速です。
上手くタイミングが合うと、一瞬止まったよう感覚になります。
そして最後が、バンクでのずらしです。
バンクは上り坂になっているので、踵を押し出すように捻りを加えると、大きな制動動作になります。
以前デモンストレーターの滑りを真横で見る機会があったんのですが、バンクでものすごい強さで板を横に押し出していました。
30度近い斜面でしたが、ほぼその押し出しだけでゆっくりとコブを滑り降りていました。

ターンサイズの調整(横方向への移動)

ターンサイズはスピードと密接な関係があります。
横への移動距離が長いということは、それだけ減速できる区間が長くなることを意味します。
スピードに余裕がある時はより直線的、スピードを落としたいときは横への移動を増やすといった具合にターンサイズを調整します。

谷回りの準備(吸収)  

板をずらしてスピードコントロールを行う時は板に対して真上から力を加えることが重要です。
しかし、この前後のポジションは吸収動作には不向きです。
吸収を行うには、ほんの少し荷重ポイントを後ろにずらす必要があります。
そうすると、下から足が押し上げられ自然と吸収動作ができるようになってきます。
この前後への重心移動ですが、谷回りから連動しています。
谷回りで体の後ろにあった板をコブの形状に合わせて前に押し出すように動かします。
始めは板が前に抜けそうで怖いかもしれませんが、勇気をだして板を前に押し出してみてください。
この動きがマスターできると、吸収動作を意識する必要がほとんど必要なくなります。

 

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まとめ

ターンの方法により山回りの運動が変わります。
内力を主体としたターンでの山回りは、ゆっくりとしたスピードに適しています。
外力を利用したターンで山回りを行えると、滑りの幅が広がってきます。

 

コブでの谷回り はこちら
コブにおける二つの山回り はここ

コブの滑り方のまとめ はこちら
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