スキーの楽しみ方は人それぞれで、この滑り方をしなければいけない、という決まりはありません。
しかしながら、効率的な滑り方は存在します。
雪面状況に応じそれぞれ違う滑り方をするという方もいますが、私は整地、コブ、新雪をすべて同じ滑り方で滑っています。
もう少し正確に言うと、同じ動作ですが、運動量の違いにより滑り分けを行っています。
ゲレンデの表情は千差万別です。
朝一番のハードパックされた整地もあれば、深いコブ、そしてパフパフの新雪もあります。
また、その中間の状態もあります。
その都度滑り方を変えるのは私には無理なので、同じ運動要素で全てに対応しています。
では、私の考える滑りと運動量の違いを説明します。
整地、コブ、新雪の運動要素の違い
ここで質問です。
Q.コブ、整地、新雪で、一番滑りやすいのはどの状況ですか。
そんなの整地に決まっているでしょ、とほとんどの方が言いそうですよね。
滑りの方向性が人により違うので一つの意見として聞いていただければ嬉しいのですが、私は整地、コブ、新雪の順で難しいと感じています。
はっきりいって私は整地が苦手です。
それでは、どうして私がそう感じるか、スキーの運動と運動量の違いからその要因を考えて見たいと思います。
スキーの運動と運動量
スキーの動作と整地、コブ、新雪での運動量を表にしました。
カービング要素の |
ずらし要素の 強い整地小回り |
コブ | 新雪 | |
結果としての捻り | 中 | 小 | 大 | 小 |
自らの捻り動作 | 小 | 大 | 小 | 小 |
前後動 | 大 | 中 | 中 | 小 |
上下動(吸収) | 中 | 小 | 大 | 小 |
左右動(角付け) | 大 | 中 | 小 | 小 |
先ほどは整地小回りとひとくくりにしましたが、カービング要素の強い整地小回りとずらし要素の強い整地小回りの二つに分けました。
捻り動作は外力により捻られる場合と、自ら捻る場合があります。
カービング要素の多い整地小回りでは自分から行う動きが多いことが分かります。
逆に、新雪では雪に身を任せ、自分からはほとんどなにもしていません。
次に、運動をひとつづつ説明していきたいと思います。
捻り
捻りには二種類あります。
自ら行う捻りと、外力(雪面からの抵抗)によりつくられる捻りです。
曲がろうとするあまり、自ら板を捻っている方を多く見かけますが、そうすると効率よくターンすることはできません。
正しい前後のポジションにのり、板を外側に押し出せば、くるくると板は回ります。
この動きは、全てのスキーの基本動作なので一番に身につけるようにしてください。
板を外に押し出すと角付けが深まっていき、雪の壁ができてきて、雪面からの抵抗が強くなってきます。
テールに比べ抵抗が大きいトップがテールより多く押されることにより、板がフォールラインに対して角度(横に向いて)がついてきます。
その時に上体をフォールラインに維持すると、外力により捻らされた姿勢ができます。
整地でのターンのイメージが難しいようであれば、コブをイメージしてください。
このときに、股関節で捻りを行い、上半身はフォールラインを向いたままにいることが理想です。
ここで、上半身が板と同じ方向を向いてしまうと、角付けが強いままになり、板が横に進んでしまいます。
この捻られた状態は、整地、コブ、新雪、全てで現れます。
前後動
前後動で山回りでしっかり板をたわませる位置(踵付近)まで移動した重心を、トップから雪面に働きかけができる位置(母指球付近)に移動させます。
特に整地種目では板が回転するための雪の壁(足場)を造るために重要な技術です。
一方、コブでは、始めから雪の壁があるため、壁づくりは不要です。
板を引き付けることにより先落としを行い、雪面との接地時間を増やしてスピードコントロールを行います。
新雪ではトップに乗りすぎないよう、踵あたりに荷重点をキープします。
上下動(吸収)
整地でも高速になってくると、雪面からの押し返しが強くなってくるので、コブと同じように吸収動作を行います。
コブの場合は、そこに凸があるのでより大きな吸収が必要になります。
新雪の場合は、ほとんど吸収動作はありません。
4.左右動(角付け)
整地ではターンをするための足場が必要なので、角付けが重要な運動になってきます。
谷回りで足を体から離すことで、角付けを強めていきます。
コブでは、はじめから足場があるので、自ら角付けを行う必要はなく、左右の動きは小さくなります。
新雪では角付けは不要です。
両方の板を揃え一本の大きな板のようなイメージでターンを行うと、スムーズにターンが行えます。
カービング要素の多い整地小回り と ずらし要素の多い整地小回り
カービングとずらしは違うと思われるかもしれませんが、ずらしの延長がカービングターンです。
谷回りでずらし始め、足が伸びてくれば角付けが深まり、山回りがカービングになります。
山回りでスピードが上がってくると、谷回りでの内傾角が深まり、カービング要素が強くなります。
こうみてくると、カービングとずらしの違いは、角付け角度の違いだけで、同じ動きをしています。
ただ、カービングターンは前後、上下、左右の運動量がずらし要素の多い小回りより多くなります。
まとめ
整地、コブ、新雪は、異なる滑り方をしているように見えますが、運動量が違うだけで同じ動きを行っています。
基本の動きができていれば、どんな状況でも同じ動きで滑ることができます。
不得意な動きがあると、そのことにより得手不得手がでてきます。
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