脱力できるとスキーが上手くなる? コブを滑るのに筋力は不要!

コブの滑り方

私が滑るときに気を付けていることのひとつに、脱力があります。
特にコブではリラックスを心がけ、可能な限り力を入れないようにしています。
若いころから行っていたわけではなく、怪我をしてリハビリの過程で体のことを勉強し、効率の良い力の伝え方を学び実践するようになりました。

 

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脱力

なぜ脱力が必要か

なぜ脱力が必要か考えてみたいと思います。
まず、脱力の反対、緊張した状態を想像してください。
ガチガチに緊張すると、筋肉が固まり関節が固定されてしまいます。
仮に、その状態でコブに入ると、コブを吸収することができず、間違いなくコブにはじかれてコースアウトです。
一方、脱力ができている状態ではどうでしょうか。
股関節、膝、足首が柔軟に動き可動域が広がり、より大きなコブも吸収できるようになります。

脱力は整地を滑るうえでも重要です。
たとえば、小回りの山回りから切替の局面で、多くの方は緊張し足が伸びてしまい、山エッジが外れず、重心のフォールライン方向への移動が十分に行えない状態になっています。
結果として、谷回りが短くなり、山回りで板を大きく押し出して減速する必要がでてきます。
切替の部分で十分に脱力ができていれば、スムーズな重心移動が行え、谷回りのとらえが早くなります。

他のスポーツでの脱力

多くのスポーツで脱力は重要視されています。
野球のバッティング、ゴルフ、テニスなど、ボールを打つスポーツではバット、クラブ、ラケットはものすごく軽く握っています。
力を入れる(強く握る)のは、ボールが当たる一瞬だけです。

プロ野球でも、歯を食いしばらないように、ガムをかむ選手もでてきました。
短距離走でも脱力をするために、拳を握らず指をまっすぐ伸ばしています。
これは、握る(グーにする)と上半身から体全体に緊張が発生するためです。

一瞬の緊張

スキーは、先ほどあげたボールを打つスポーツに似ている気がします。
ターンの中で一瞬だけ緊張し、そのほかの部分ではできる限り脱力して、板の動きを妨げないようにしています。
その一瞬とは谷回りから山回りに変わり、板が雪面から押し戻され始めた時です。
緊張することで板をたわませ、フォールライン方向への運動を横方向の運動に変えます。
この部分では筋力が必要です。
コブや小回りより速度の速い大回りでは、より強い筋力が必要になります。

 

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コブで必要な筋力

スキーで必要な筋力

スキーで筋力はブレーキング、すなわちスピードコントロールを行う時に必要になってきます。
少し小難しい話になりますが、K=1/2 mv^2 と言う式に見覚えはないでしょうか。
言葉で表すと次のようになります。

(運動エネルギー) = 1/2 x(質量)x(速度)x(速度)

これをスキー用語に直すと次のようになります。

(滑走に必要な筋力)= 1/2 x(体重)x(滑走速度)x(滑走速度)

滑走速度があがると速度の二乗に比例して運動エネルギーが大きくなる、すなわち滑走に必要な筋力が大きくなってくることを表しています。

滑走スピード

では、実際の滑走スピードをみていきましょう。
ワールドカップのダウンヒルでは時速100kmを超えます。
一般のゲレンデスキーヤーは大回りで時速50~60kmです。
余談ですが、アプリで時速80kmとか表示されることがありますが、一般のゲレンデ本当にそんな速度が出ていたら、要注意人物としてスキー場に通報される可能性大です。

一方、モーグルはどうでしょうか。
ワールドカップのトップ選手で、時速60kmと言われています。
しかし、われわれ一般人はそんなスピードが出るはずはなく、コブの中ではせいぜい時速20~30kmぐらいではないでしょうか。
ちなみに、時速20kmでも、秒速5.5mです。

整地小回りはコブよりは早く、大回りよりは遅いので時速30~40km程度でしょうか。

コブで必要な筋力

先ほど、コブの滑走速度は大回りのだいたい半分ぐらいだということが分かりました。
そうすると、速度が1/2ということは、必要な筋力は1/4と言うことになります。
どうですか、コブを滑ることが楽に感じられるようになりましたか(笑)
実際は、コブに慣れないうちは、コブから受ける衝撃を吸収できずに必要以上に筋力を使うこともあると思います。
しかし、大回りを滑れる筋力がるのであれば、コブは問題なく滑れるはずです。

もう一点重要なことは、自分の筋力を100とした場合、どのくらいの筋力を使って滑っているかと言うことです。
100に近い筋力を使っている場合、足を常に緊張させ最大限に耐えながら滑ることになります。
これでは、雪面の凹凸を吸収できません。
できれば、脱力して50ぐらいの筋力で滑れるようになると、滑りの幅が広がってきます。
特に、コブを滑るうえで緊張(足の突っ張り)は大敵です。
脱力した状態で余裕を持ってコブを滑れる筋力が必要ですが、大回りができるのであれば問題ないと思います。

実体験

自己紹介にも書いていますが、十数年前に右足を複雑骨折し、自分の力で自分の足を上げることができないくらい筋肉がなくなった状態からリハビリを行いました。
今でも、左右の足の太さが見てわかるほど違います。
筋肉を付けている途中の段階からスキーを再開したので、どんな滑りが筋力を使うか体感できました。
それは次の通りです。(筋力が必要な滑り方が右)

コブ << 小回り << 大回り << カービング小回り << カービング大回り

信じてくれる人は少ないのですが、筋力が無いのでリハビリとしてコブの練習からスキーを再開し、そのことでコブが好きになりました。

コブは筋力が必要と感じるのはなぜ?

では、なぜコブを滑る時に筋力が必要だと感じる人が多いのでしょうか。
それは、ずばり股関節、膝関節の柔軟性(緊張)の問題だと思います。
柔軟性と言っても体操選手のように柔軟が必要なわけではありません。
コブは凹凸が大きいので、下半身を車のサスペンションの様に柔らかくスムーズに動かす必要があります。
これができればスキーの板が雪面から離れないので、コブから大きな衝撃を受けることはなくなります。
しかし、緊張してしまうと柔軟性が無くなり、足が伸びた状態になり、板が雪面から離れる時間が長くなることにより、コブから大きな衝撃を受けます。
結果として、より多くの筋力を使うことになります。
これが、コブを滑るのに筋力が必要と感じる理由だと思います。

 

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コブの滑り方

では、どのようにコブを滑れば良いのでしょうか。
私は、常に脱力して雪面からの抵抗に「少し」負けることを心がけています。
負けすぎるのはいけません。
勝つのはもっといけません。
「少し」負けることです。
これは、整地を滑っていても同じだと思っています。

 

最後に

コブで悩んでいる方、ぜひ力を抜く練習をしてみてください。
フォールライン方向への重心移動がスムーズになり、谷回りから板がコブに張り付くようになります。
また、小回りを洗練させたい方にも脱力はおすすめです。

 

コブの滑り方のまとめ はこちら
コブ・小回りの練習方法のまとめ はこちら

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