スキーをしていて自分のレベルが知りたくなってきた。
スキー場でゼッケンを着けている人に興味がある。
友達に誘われた。
などなど、バッジテストを受けようと思い立つきっかけはさまざまです。
そのような方が一番多く受験するSAJバッジテスト2級の、合格率と合格のためのポイントを解説します。
受験資格
年齢制限はなくなり、何歳からでも受験可能です。
先日行ったアンケートでは7歳で合格された方もいました。
唯一の受験条件は、1単位2時間の事前講習を受講していることで、この事前講習を1度受講すれば同一シーズン中有効です。
初めてバッジテストを受ける人は、午前中に講習を受講して午後に検定を行うことが多いと思います。
また、多くの試験会場では1級検定と同時に行われます。
検定種目と採点方法
検定種目
検定は3種目で行われます。
朝一番の整地された斜面ではありませんが、比較的荒れていない斜面で行われることが多いと思います。
ただ、自然の中のスポーツなので、新雪が降り積もる中や春先のじゃぶじゃぶの斜面で行われることもあります。
- 大回り (ナチュラル/中急斜面)
- 小回り (ナチュラル/中斜面)
- シュテムターン(ナチュラル/中斜面)
採点方法
検定員
主任検定員1名と検定員2名、合計3名でジャッジを行います。
主任検定員は、A級あるいはB級検定員で、B級検定員になるには、全日本スキー連盟(SAJ)公認スキー指導員資格を所持している必要があります。
残り2名の検定員はC級検定もなることができます。
評価の観点
評価の観点は次のようになっていますが、全ての級で同じです。
後ほど、具体的にどのようなことが2級合格に必要かを解説しています。
- 状況・条件に対応して滑る能力
- ターン運動の構成(ポジショニングとエッジング)
- 斜面状況への適応度(スピードと回転弧の調整)
- 運動の質的内容(バランス・リズム・タイミング)
種目別得点
検定員3名の平均値(小数点第1位を四捨五入)で65点以上、言い換えると、3名の合計点が194点(例:65点、65点、64点)以上で合格です。
得点がばらけていた時に、主任検定員の得点が採用されるわけではありません。
検定員の採点と種目得点
検定員A | 検定員B | 検定員C | 合計点 | 種目得点 |
64点 | 64点 | 63点 | 191点 | 64点 |
64点 | 64点 | 64点 | 192点 | 64点 |
65点 | 64点 | 64点 | 193点 | 64点 |
65点 | 65点 | 64点 | 194点 | 65点 |
65点 | 65点 | 65点 | 195点 | 65点 |
66点 | 65点 | 65点 | 196点 | 65点 |
66点 | 66点 | 65点 | 197点 | 66点 |
注)1種目の得点例です。3種目の合格点ではありません。
実際は検定員毎の点数は発表されない場合がほとんどです。
合格点
3種目合計で195点以上で合格です。
仮に大回りで64点だとしても、小回り66点、シュテムターン65点であれば、合計195点となり合格です。
合格難易度と合格率
合格難易度
2級はスキーの技術を伸ばしたいと考えている人にとって、入門の位置づけのテストです。
5~3級もありますが、2級から受けられる方が圧倒的に多いです。
年齢、性別、スポーツ経験など、多くの要素があり一概には言えませんが、早い人であればスキーを始めたシーズンに合格することも可能です。
大学のスキーサークルでは、初めてスキーを履いて1年生で2級、2年生で1級に合格する人もいます。
普通の方でも、しっかしとした指導を受けていれば、数シーズンで合格できると思います。
逆に言うと、我流だと合格までに時間がかかるかもしれません。
2021年にとったアンケートでは、最年少合格者は7歳、最年長合格者は60歳でした。
また、合格者は、平均1.9回目の検定で合格していました。
SAJスキーバッジテスト・指導員検定 回答者のプロフィール、最年少、最年長合格者など はこちら
合格率
北海道スキー連盟発表のデータによると、2017/18から2020/21まで4シーズン累計で、受験者数16,305名、合格者数5,828名、2級合格率で36%でした。
青森県スキー連盟発表のデータによると、2012/13から2021/22まで10シーズン累計で、受験者数1,491名、合格者数1,181名、2級合格率80%でした。
先のアンケート結果では、合格者の平均受験回数は1.9回であり、挑戦中の方もいることを考えると、合格率は40~50%となります。
全ての県が合格率を発表しているわけではないので全国平均は分かりませんが、だいたい30~40%ではないでしょうか。
2級、1級、テクニカル、クラウンの合格率と難易度。北海道スキー連盟 はこちら
差が広がる スキー検定 2級・1級とテクニカル・クラウンの合格率 青森県スキー連盟 はこちら
合格のポイント
滑り方
シュテムターン、大回り
2級検定は、ボーゲンからシュテムターン、そしてパラレルターン(大回り)への上達の過程を評価するテストだと思います。
ボーゲンでは、板は体より常に前にありますが、パラレルでは板を体の下に持ってくる必要があります。
また、ボーゲンでは左右の板に分散していた荷重を、パラレルでは(感覚的には)外足一本に荷重します。
合格のポイントはしっかりと外足に荷重できているかです。
重心が後ろにあると、外足に荷重することが難しくなります。
小回り
小回りはパラレルターン大回りに太腿の捻り動作を加え、回転弧を小さくした滑りです。
大回りがしっかりとできない状態だと、小回りでも後傾になる可能性が高く、なかなか回転弧が小さくなりません。
この状態で無理やり小回りを行うと、変な癖(特にローテーション)がつく可能性があるので気を付けてください。
小回りの滑り方は何種類もありますが、どのような小回りでも左右均等なリズムで暴走しなければ合格点に届くと思います。
練習方法
検定の3種目とも、一番重要なことは外足にしっかりと乗ることです。
極端な話、外足一本で滑り内足を軽く添えるぐらいの気持ちです。
外足にしっかり乗ることが重要なので、外足1本(切替で足を入替える)でのターン練習を行うことをお勧めします。
たぶん、両足で滑っている時に比べ、ものすごく体が外側に行くと思いますが、それが正しい位置です。
片足で立つことが難しい方は、重心が後ろにある可能性が高いので、足首を緊張させて(前に入れて)、重心を前に持ってくることを心がけてください。
検定斜面で、外足一本で安定して滑れるようなれば合格間違いなしです。
前からの視点
後ろからの視点
外足にしっかりと乗るための練習方法を紹介しています。
左右のポジションを鍛える練習 はこちら
スキー板とブーツの選び方
スキー板
アルペン用、基礎用、モーグル用、パウダー用など多くの種類のスキー板が販売されていますが、もちろん基礎用がお勧めです。
間違ってもアルペン用などの固い板は選ばないでください。
基礎スキー用でもトップモデルと言われる最上位の板は固すぎるので、セカンドモデル、サードモデルがお勧めです。
要は値段が安く、柔らかい板が合格への近道です。
また、基礎スキー用の板には大回り用と小回り用の板がありますが、強く小回り用の板をお勧めします。
検定種目として大回りがありますが、大回りの板の性能を発揮できるほど横幅と斜度のある検定会場は稀です。
板は長くても165cmぐらいが良いと思います。
その昔、私は2級に合格に時間がかかったのですが、その時に使っていたのが当時のトップモデルで200cmの大回り用の板でした。
ちょっと遠回りをしたと思っています。
スキー板の選び方 はこちら
ブーツ
ブーツを選ぶポイントは、柔らかさです。
筋力があり雪面からの力を的確に受け止めることができる人は固いブーツでも良いのですが、これから2級を目指す人にとってはハードルが高すぎます。
ブーツを履くことに苦労しないぐらいの柔らかさが良いと思います。
かと言ってリアエントリタイプは柔らかすぎるので、バックルタイプのブーツを選んでください。
ブーツの固さを表すのに80から150ぐらいまでの数字が使われますが、100前後で十分だと思います。
ここで気をつけていただきたいのは、この数値はメーカー間で共通していないということです。
あくまでも同じメーカーの中での固さの基準だと考えてください。
スキーブーツの選び方 はこちら
最後に
合格に向かって、がむしゃらに滑るのも良いのですが、効率的な練習をすることも考えてみてください。
また、短い期間で合格するためには、戦略を立てて受験に臨みましょう。
繰り返しになりますが、スキー板もブーツも柔らかめのものがお勧めです。
SAJ、SIAスキー検定(バッジテスト)のまとめ はこちら
コメント