天気予報 10年に1度更新される「平年並」の寒さと、降雪量の関係

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天気予報でよく聞く「平年並」という言葉には、明確な定義があります。
降雪量で平年並の定義を説明した後、平年並の気温と降雪量の関係をみていきたいと思います。

#2023年11月25日、気象庁が発表する「平年並」と、私が比較のために求めた平均が分かりにくかったので表現を改めました。

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長期予報

平年並という言葉は主に気象庁発表の長期予報で使われます。
特に9月に発表される寒候期予報で、その年の冬の寒さが平年と比べてどうなるかがスノーヤーの関心を集めます。

長期予報には4種類あり、それぞれ次の日時で発表されます。

  • 1か月予報:毎週木曜日
  • 3か月予報:毎月25日頃
  • 寒候期予報:9月の3か月予報と同時
  • 暖候期予報:2月の3か月予報と同時

 

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平年並

平年並と聞くと最近の気温の平均と思われがちですが、実はもっと長期間の観測データから導き出されます。
気象用語として用いられる「平年並」とは、対象の30年間の内、気温や降雪量の高い方から11番目から20番目の間に入る年の値となります。
また、その対象の30年間は10年毎に変更となり、2021年がその変更の年でした。

対象期間

2021年1月に対象の30年間が変更になりました。
10年毎に対象期間が変更となるので、39年前の観測データが利用されることもあります。
予報日時とその時点の対象の30年間です。

2010年12月~2020年12月の予報

対象期間:1981年~2010年までの30年間の内の10年

2021年1月~2030年12月の予報

対象期間:1991年~2020年までの30年間の内の10年

対象期間による平均降雪量の違い

鳥取県大山

平年並の降雪量がどのように変わるか、変化量の大きかった鳥取県の大山で比較してみたいと思います。
グラフは、「1981年から2010年までの30年間」と「1991年から2020年までの30年間」の各年の年間降雪量を降雪量順に並び替えたものです。
平年並は11番目から20番目の間に入る年のデータなので、グラフの中の赤い線で囲った部分です。
明らかに「1981年から2010年までの30年間」の方が降雪量が多かったことが分かります。


国土交通省気象庁のデータをもとにグラフを作成
観測地点:北緯35度23.6分 東経133度32.2分 標高875m
注)大山では、1982年より観測が始まったため、1981年のデータがありません。

鳥取県大山の平年より多い、平年並、平年より少ない、各々の10年の平均は次のようになります。
#気象庁からは平均値の発表はなく、独自の計算です
2021年以降、「平年並の10年間の平均」の年間積雪量が82cmも少なくなったことが分かります。

年間積雪量 2020年以前 2021年以降
平年より多い10年の平均 1026 cm 960 cm
平年並の10年平均 946 cm 864 cm
平年より少ない10年の平年 865 cm 791 cm

平年並の気温と降雪量の関係

岐阜県高山市

平年並の気温と降雪量の関係はどのようになるか、本州の中央に位置する岐阜県高山市で調べてみました。
グラフは、1991年から2020年までの30年間の1月の平均気温を左軸、そのシーズンの年間降雪量を右軸に表し、平均気温の高い順に並べてあります。
暖冬の年(左から10番目の年まで)に、降雪量が少ないのは明らかですね。
いずれも平均気温が氷点下の平年並(11~20番の年)と平年より寒い年(21番目以降の年)の降雪量の差はそこまで多くないようです。


出典:国土交通省気象庁

観測地点は市街地にあるので、スキー場はより気温が低く、降雪量も多いと考えられます。
また、グラフから見ても明らかなように、2020年1月の気温の高さは突出していました。
いずれにしても、平年並の寒さであれば、十分な降雪は期待できるということですね。

  気温 降雪量
平年より暖かい10年の平均  0.0℃ 230 mm
平年並の10年の平均 -1.4℃ 357 mm
平年より寒い10年の平均 -2.2℃ 370 mm

 

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