コブは多くの人が同じ場所を滑るとできます。
朝一番のゲレンデは整備されたフラットなバーンですが、多くの人が滑れば凸凹になってきます。
しかし、はっきりとしたコブのラインができるには、いろいろな条件が必要になります。
それでは、コブのでき方と造り方を見ていきたいと思います。
自然コブ
緩斜面にできるコブ
夕方になると緩斜面でも凸凹になりますが、はっきりとしたコブのラインができることは稀です。
これは、緩斜面ゆえに初心者の方が多く、ターン弧をコントロールすることなく自由に滑ること。
また、でき始めのコブを削って均してしまうことが多いことが起因しています。
加えて、スピードがゆっくりなので、大きな制動動作(エッジング)が必要ないことも原因の一つと考えられます。
それにもう一つ、スノーボーダーが多くなった事もコブのできにくくなった原因の一つです。
通称「木の葉落とし」という、スノーボードの上にフォールラインを向いて立ち、フォールライン方向にゲレンデをデラパージュ(ずらし)を行うことで、結果としてでき始めのコブを潰しています。
中急斜面にできるコブ
緩斜面に比べ、コブのラインができる可能性が高くなります。
特にすり鉢状になっているなど、同じ場所を通りやすい地形の場合は、よりコブになりやすいです。
急斜面になるほど制動動作が大きくなり、より多くの雪を削り落とすことになります。
コブのラインらしきところができると、同じラインを通る人が多くなり、だんだんとラインがはっきりとしてきます。
いったんコブができると、制動(減速)を行うためにほとんどの人が同じ場所を滑るようになるので、コブはどんどんと成長していきます。
人工コブ
人工コブと言っても機械が造るわけではありません。
多くの人に同じラインを滑ってもらうためにゲレンデに目印をつけるのですが、その方法でコブの造り方が分かれます。
人の感覚でのライン造り
一番多く使われる方法です。
ゲレンデの端に、数人から十人ぐらいで一列になって、一番前の人の滑ったラインをトレースします。
5、6人で3回も滑ればラインがくっきりとできます。
あとは多くの人が自然とそのラインを滑るようになり、コブが成長していきます。
春スキーであれば、延べ30人も滑れば立派なコブができあがります。
ブラシポール、ネトロンパイプを利用したコブ造り
スキースクールなど、スキー場が許可したゲレンデにコブを造るときにブラシポールやネトロンパイプを利用します。
等間隔にアイスドリルでゲレンデに穴をあけ、その中にブラシボールを刺していきます。
コブを造るときの注意点としては、競技スキーのようにポールの下を滑るのではなく、ブラシボールの上方でエッジングを行い切替えを行います。
ある程度コブのラインができると、ブラシポールを抜いて完成です。
三角錐の雪のブロックを利用したコブ造り
木型などで三角錐の雪のブロックを造ります。
ブラシポールの代わりに、三角錐の雪の塊を雪面に置いていきます。
目的はブラシポールと同じですが、最後にブラシポールを抜きに行く必要がありません。
ロープを利用したコブ造り
ブラシボールやネトロンパイプを使うところは同じなのですが、コブの間隔を均等にするためにロープなどを利用します。
一番上にレース用のポールを立て、そこにロープの端を結び、フォールライン方向に一直線にロープを伸ばします。
ロープに等間隔に印がつけてあり、その場所にブラシポール等を刺していきます。
番外編
モーグル競技で利用されるコブの規格
規定されているのは、コース全長235m±35mなど、地形に関するものだけでした。
コブの形状、間隔などコブ自体に関する規定はありません。
コブを造る人の裁量によるところが大きいのですね。
原文(Mogul Course Specification)を確認されたい方はこちら
コブの敵
季節によってさまざまな敵がコブを待ち構えています(笑)
でき始めのコブの敵
多くの敵が存在しますが、最強の敵はスノーボーダーです。
コブ好きがやっとの思いで造ったコブのラインを、一瞬で消し去っていきます(笑)
ハイシーズンのコブの敵
ゲレンデでは、毎日ピステンが跡形もなくコブを潰していきます。
また、コブの凹凸をなくす降雪も天敵です。
春コブの敵
直射日光が最大の敵です。
地熱とのセットで、コブの溝をどんどんと溶かし、深~いコブを造っていきます。
そして、スキーヤーも難敵です。
コブの溝を掘り起こし、コブの寿命を短くします。
最後に
コブは楽しいものですが、スキー、スノーボードを始めたばかりの人が、コブが分からずに紛れ込むと危険です。
スキー場の指示に従い、許可された(禁止されていない)場所にコブを造るようにしましょう。
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